任意売却のまめ知識
(9)「任意売却後」の残債務について
任意売却後の「残債務の支払い」についてのご相談が、かなり多くあります。今現在、住宅ローンの支払いで頭を悩ませ、心身共に限界にきているのですから、ご心配されるのも無理のないことだと思います。
残債務の支払いについては、任意売却に至るまでのあなたと債権者との関わり方、具体的な債権者、残債務の金額、勤務先、連帯保証人の有無などそれぞれ状況が違うため、一概にいくらということはできません。
決済までの間に、債権者の方と残債務について交渉し、本来なら、「一括返済」をしなければ売却できないところを、債権者が要求する金額とあなたが実際に支払える金額で折り合いをつけていくことになります。
お借入先の債権者ごとに、それぞれについて交渉をし、債権者すべてと合意ができて初めて、任意売却が成立します。
誠意をもって交渉することで、1社当たりの金額は数千円からの少額で認めていただける場合がほとんどです。
(10)「任意売却後」新たな生活をはじめて・・・
任意売却後どのくらい経てば、また新しいマイホームを手にいれることができるのでしょう?
現在、個人信用情報機関は4機関あります。消費者金融、クレジットカード会社、銀行などの業態ごとに存在し、加盟する機関がそれぞれ違います。
●株式会社シー・アイ・シー(CIC)
●全国銀行個人信用情報センター( 通商:全銀協/KSC)
●株式会社日本信用情報機構(JICC)
任意売却後、遅くとも10年以内には新しいマイホームの購入が可能になります。
ご自分で上記機関に直接問い合わせると、事故情報の履歴が消えたかどうか確認できます。
(11)ブラックリストってどこにある?
「ブラックリスト」っていうと、まるで要注意人物の一覧が載った名簿のようなものがあると思われがちですが、実際にはそういった名簿が存在するわけではありません。では、ブラックリストとは、何を指すのでしょう?
「個人信用情報機関」では、ある一定期間支払いを延滞した人を「事故情報」「延滞情報」として登録します。このことを通称「ブラック情報」といい、この情報に登録された状態を「ブラックリストに載った」と表現しています。
通常、3か月間支払いが遅れた時点で事故扱いとなり、登録されます。金融機関のブラックリストにのることを気にして、任意売却に踏み切れないという方がいらっしゃいますが、あなたの意思に関係なく、滞納が続くと『その旨、銀行協会の個人信用情報センターに登録されます。』という文言の入ったお知らせが届きます。
つまり、任意売却をするからブラックリストに載るのではなく、返済が滞ったからブラックリストに載るということです。
(12)競売が終わった後の立ち退き費用
立ち退き費用は出るのでしょうか?引越の費用はいくら位もらえるのでしょう?立ち退き費用がもらえなければ、もらえるまで居座るとどうなるのでしょうか?立ち退かず住み続けるとどうなるのでしょうか。
(13)競売後も住み続ける!
競売が終わった後にも、そこに住み続けられると勘違いをなさっておられる方々が多数おります。
競売終了後に落札者が落札代金を支払った時点であなたは不法占有者となります。
そこに住み続けたければ、落札者に購入希望を伝えてあなたが現金で購入するしか方法はございません。
ちなみに、競売にかかっている不動産を任意売却で身内に買い戻してもらう事はできます。それをあなたが賃貸で借りるという方法も有りです。
(14)競売で落札された後の立ち退き!
落札者は立ち退き費用を支払わなければならないという義務は全くございません。
引っ越し費用とか立ち退き料はあくまでも落札者の善意以外の何物でもございません。
競売物件を落札をして転売している業者さんですと、不法占有者の追い出し専門の部署を持っている場合がございます。このような業者さんが落札者ですと立ち退き料などは出してもらえても3万円〜10万円といったところだと考えられます。
数十万円の強制執行費用をかけても占有者には1円も払わないという競売のプロ達もおります。また、数万円で占有者の立ち退きを請け負う業者さんも多数存在するようです!
(15)ゴネる占有者を排除する法案!
不動産競売において最も懸念される「占有者」の問題が有ります。
政府・自民党の法制審議会は平成2003年1月不良債権処理を円滑にするための対策を盛り込んだ改正要綱案をまとめました。
これによると競売物件に居座り、立退き料を迫る「占有屋」に悪用されることの多い「短期賃貸借制度」を廃止し、抵当権を強め、塩漬け不動産を流動化させました。
「短期賃借権」は抵当権が設定された住宅などを3年以内の短期の契約で借りている人には、住宅が競売された後も契約期間満了までは住み続けることを例外的に認めた制度で、元々は弱者保護のためのものでした。しかしながら、多額の敷金を盛り込んだ虚偽の賃貸借契約書を作って居座る例が後を絶ちませんでした。
しかし、現在は「占有屋」を立ち退かせる手続きも合理化され、占有者がころころ変わるような場合でも占有者不明のままで明け渡し命令がもらえるようになっております。
(16)引渡命令!
引渡命令とはその対象者となる競落者が、落札した不動産から占有者が自発的に退去してくれないことを裁判所に訴えることにより、裁判所から占有者に対して、不動産を引き渡すよう命令を発令してもらう裁判手続きのことです(代金納付の日から6ヶ月以内に限り申立てできる。)
裁判所でこの「引渡命令」が確定すれば、それに執行文の付与を受けて、執行官による強制執行で、占有者・占拠者を強制的に立ち退かせることができます。